東金山武子育て支援センター 
設立趣旨

 1960年代以降、社会情勢が目まぐるしく変化し、子どもが育つ環境も否応なく変貌
してきました。それまでは、一人の子どもの周りには、親だけでなく兄弟、祖父母、
親戚、隣近所という幾重もの人垣がありました。
それが、高度経済成長時代に入ると核家族が増え、家庭が生産の場から消費の場
となることで親子の関係も微妙に変わり、「専業主婦」が出現し、
「母子カプセル」という言葉も生まれました。
そして、いじめ・不登校・学級崩壊・10代の若者たちのひきおこす事件等、
社会で起こっている子どもを取り巻くさまざまな問題の背景には、小さい頃から
人と人との関わりの中で積み重ねられて身についていくはずの社会的体験が、
希薄になっているという現状があると思われます。

 私たちは、前身である「東金・山武おやこ劇場」で、10年間、
子どもの感性や自主性を育てる活動をしてきました。
創立時のメンバーの子育てが一段落してきた後半の2年間、
「幼児とお母さんのワークショップ」に取り組んだ中で、子育て真っ最中のお母さん
から「地域に、乳幼児のための児童館のようなものがあればいいな」という声が
あがりました。その声は、「地域の子どもたちが健全に育って欲しい」
「子どもを取り巻く大人も子育てに真正面から向き合って欲しい」と願っていた
「東金・山武おやこ劇場」の思いを乳幼児の子育て支援に結びつける、
大きなきっかけとなりました。

 もはや、子どもの育ち方や親子関係のあり方は、
各々の家庭での問題としてではなく、地域社会の課題として捉えなければなりません。
近年は、さまざまな取り組みが各方面で模索されていますが、そのひとつとして、
乳幼児とその母親が気軽にふらっと立ち寄ることができる
「たまり場」づくりがあります。
孤立無援で育児不安を抱えながらの「密室育児」に陥らないために、
ひとときでも親がほっとできる時間と場所を提供するというものです。
その場には、子育てに一段落した先輩お母さんや時には専門家がいて、
気軽に話ができる雰囲気があります。
そこに集まる人同士の繋がりができていくかもしれません。
青少年が乳幼児と接する機会があればなお良し。
そこには新しい時代の子育ての人垣が作られていくことでしょう。
アフリカには「一人の子どもが育つには、村中の人の力が必要」
という諺があるそうですが、育児は母親だけが担うのではなく
地域社会全体で支えるものだという意識が生まれることを、
私たちは期待し活動していきたいと思います。

 また、「たまり場」を軸にしながら、子育てに関する多様な事業をしていくこと
もこれからの課題として考えています。
今後、幼児期に必要な「遊び体験」、「自然体験」、「芸術文化体験」の機会を
より多く作っていきたいと思います。
子どもたちの健やかな成長のために、これまで手が届かなかった部分の
子育て支援のあり方を探りつつ、行政・他団体とも協働しながら、
子育てに関する問題解決の一翼を担うNPOとして力を尽くしたいと思います。


もどる